ここではない、どこか遠いところ

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最近読んだ10冊(2019.3)

毎週更新の誓いはどこへやら(汗)年が明けたと思ったら、早くも春めいてきてしまいました。今回は過去に読んだものから順に書いています。


過去の「10冊」はこちら↓
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『子育てしながら建築を仕事にする』成瀬友梨・編

子育てしながら建築を仕事にする

子育てしながら建築を仕事にする

  • 作者: 成瀬友梨,三井祐介,萬玉直子,杉野勇太,アリソン理恵,豊田啓介,馬場祥子,勝岡裕貴,鈴木悠子,木下洋介,永山祐子,瀬山真樹夫,杤尾直也,矢野香里,松島潤平,吉川史子
  • 出版社/メーカー: 学芸出版社
  • 発売日: 2018/02/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自分の今後に色々と悩んでいるということもあり、読んでみました。結論から言うと、このタイトルで興味を持った人は読んでみるといいと思います。一言に建築といっても色んな人がいるな〜と、視野が広がる内容。

不満なこと。
少なくともこの本の中では共通しているパターンが、

20代で建築一筋、実務を叩き込む→(途中で配偶者に出会う)→30歳前後で結婚、出産→30代は要領のいい働き方に変えていく

というスタンダードな年表です。働く分野や規模の違い、雇用者と被雇用者の違い、男女の違い、などはあるものの、みんなこの筋は同じ。それがある意味優等生的な流れなので「他のパターンはいないんだ」と思い知らされる。例えば30代から職種を変えたとか、先に出産があったとか、大きな失敗をしたとか……。

あと、男性のエピソードも興味深く読めたけれど、やはり女性の話がもっと知りたいです。結局、男性は出産するわけではない、つまり一時的に仕事を中断する必要がないという点で女性と大きく異なると思うので。
(★★★☆☆)

『アフリカの白い呪術師』ライアル・ワトソン

アフリカの白い呪術師 (河出文庫)

アフリカの白い呪術師 (河出文庫)

衝撃的な内容、価値観を変えてくれる一冊。共感するか否かはともかくとして、一生に一度は読んでみたらいいだろう、という本。レビュー書きました(伝えきれていませんが)。
(★★★★★)
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『ここは退屈迎えにきて』山内マリコ

ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)

ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)

タイトルとカバー買い。最初の一篇を読んで、「こりゃ私の故郷じゃないか?」と思ったけれど、おそらくそう錯覚してしまう人は多いでしょうね。実際にはこの舞台は雪国なので私の故郷じゃなかったのですが、“退屈な故郷”の描写が上手くて「わかるわかる!」とのせられてしまいました。

最初はその空虚感と、東京という都会への憧れと、のギャップが面白かったんですが、だんだんワンパターンに思えてきてしまいました。登場人物があまり魅力的に映らなかったせいかもしれない。まぁ、魅力的じゃないという点がこの本のポイントなわけだけど。

もう少し、中途半端な田舎の葛藤を深く感じたかったです。そのためには長編のほうがよかったのかな。
(★★★☆☆)

それでも高い家賃や過酷な電車の乗り換えに耐えて東京に住みつづけたのは、都会のヒステリックなテンションがいろんなものを紛らわせてくれて、それが心地よかったからだ。全然パッとしない自分も、行き当たりばったりに無意味に過ぎていく人生も、東京の喧騒にごたまぜになれば、それなりに格好がついて見えた。
―P.16

『猫は、うれしかったことしか覚えていない』石黒由紀子

猫は、うれしかったことしか覚えていない

猫は、うれしかったことしか覚えていない

2019年のカレンダーを探していたら、ミロコマチコさんの絵に出会い、ほかにどんな絵を描くんだろうと興味があって買ってみました。

ミロコマチコさん(一体どこで名前が切れるのか?) は挿絵を描いているだけで、文章は石黒由紀子さんという方。内容は、猫についてのエッセイで……特にこれといった話はなく。正直、ほぼ忘れてしまいました(汗)
(★★★☆☆)

『どんなにきみがすきだかあててごらん』サム・マクブラットニィ

どんなにきみがすきだかあててごらん (児童図書館・絵本の部屋)

どんなにきみがすきだかあててごらん (児童図書館・絵本の部屋)

  • 作者: サムマクブラットニィ,アニタジェラーム,Sam McBratney,Anita Jeram,小川仁央
  • 出版社/メーカー: 評論社
  • 発売日: 1995/10/01
  • メディア: 大型本
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よく行くセレクトショップのブログでおススメされていたので。

絵本っていいですよね。コレクションしたい。大人になってからも、読むとハッとさせられるような、人間のやさしさがあります。すごく簡単な内容なのに、あとあと心に残る。
(★★★★☆)

『熱帯建築家 ジェフリー・バワの冒険』隈研吾・山口由美

熱帯建築家: ジェフリー・バワの冒険 (とんぼの本)

熱帯建築家: ジェフリー・バワの冒険 (とんぼの本)

次の年末年始にスリランカ旅行を企てています。スリランカはこれまで特に興味がなかったんだけれど、雑誌で見て「なんかよさそう」と感じ、しかもバワのホテルに泊まれる!ということで急きょ新婚旅行先(今さら)に決定しました。ちなみに飛行機は貯めたマイルを利用!

バワの作品集は持っていなくてとりあえずこれを買ったんですが、作品集というよりは旅行ガイドとして使えます。スリランカにあるバワのホテルの位置、内観外観、背景やおすすめの部屋など詳しく書いてあります。実際、これを見て泊まるホテルや見学先を検討しています。

隈研吾さんが書いているのは冒頭の文章だけで、詳しいガイドは山口由美さんという方が書かれています。
(★★★★☆)

『日本の建築家-22人の建築家の、ここだけの話-』二川幸夫・二川由夫(インタビュー)

日本の建築家 ‐22人の建築家の、ここだけの話‐

日本の建築家 ‐22人の建築家の、ここだけの話‐

ちょこちょこ読み進めてやっと読み終わりました。建築本の中でも、建築家の素顔が見れる部類の本で、この業界で働く側の人にこそ面白い内容だと思います。

インタビュアーの二川さん親子がけっこう力強いので、若手はちょっと押されていたりして。普通の編集者にインタビューを受けていたら、こんな風に反論されたりしないんだろうな。

最後の磯崎新さんがメチャクチャ元気なことに驚き。元気だし、「現代」をちゃんと生きている。建築家って、特に私の世代(30〜40代)の人たちは、世間をにぎわす政治社会問題にあんまり興味ない人が多い気がするんですが、磯崎さんや上の世代の方たちは、他の文化や政治、社会の様々な動きを捉えようとしている。それは本来、建築家として失ってはならないものだと個人的に思う。で、若い人(石上純也さんなど)のつくるものには、俗社会への無関心さがよく表れているよなぁと。良い悪いの判断は現時点で難しいけれど、建築家が社会と距離を置きすぎるのは、あまり好ましいと思わないなと再認識しました。
(★★★★☆)

『サピエンス全史』上

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

売れてるし面白いと聞いていて期待して上下巻購入したのだけど、そこまででもなかったかな……というか、翻訳があまり上手くない??とても読みづらくて、時間がかかってしまった。

著者がすごく中立的であろうとするので、問題の提示で終わってしまっている。わかりやすい持論で読者を引き込むような感じではない。真っ当なんでしょうけど。下巻も読みます。
(★★★☆☆)

『ロボット』カレル・チャペック

ロボット (岩波文庫)

ロボット (岩波文庫)

最近「いずれロボットに職を奪われる」と話題になっていますが、そもそも「ロボット」という言葉を生んだのがこの本。当時から“ロボット下克上”まで予想していたからすごい。

この本で描かれるロボットは、メカニカルな物体でなく人間の組織をそっくりそのままコピーしています。最初は従順だったロボットたちが次第に感情を持ち始めてしまうのですが、その発端が「痛み」という感覚を与えられてしまったから……というのが面白い。痛みを感じないロボットは、平気で自らに怪我をさせたりするので生産性が悪い、という理由で人間が痛みをプログラムするんですが、そこからシナリオが狂ってしまうのです。痛みかぁ〜。深い!

ただこれは戯曲なので、深層心理を細かく描写することはなく、展開が早めで浅めなのがすこし物足りない。このストーリーをもとに小説化したら読みごたえがありそうです。
(★★★☆☆)

『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル

夜と霧 新版

夜と霧 新版

本屋できれいな装丁が気になって買ってみました。内容、素晴らしいです。これも一生に一度は読むべき本だと思います。

意外と文章が硬くなく、翻訳(新訳になったとのこと)がとてもよい。私は基本的に翻訳された本の日本語が苦手であまり読まないんですが、これは翻訳っぽいたどたどしさが全くなかったです。

ナチスの強制収容所に入っていたユダヤ人精神科医の著者が、当時を回顧して書いています。読むと、映画『ライフ・イズ・ビューティフル』から想像していた世界なんて、いかに生温かったことかと……。映画のように人間の体を成しているわけでなく、まさに骨と皮になってしまった人びとが、全ての拠り所を失って文字通り必死に生きていた。飢え、寒さ、暴力、病、思いつく限りすべての苦痛を受け取り、愛する人の生死もわからず、夢や空想のみを心の支えに生き続け、そのほとんどは命を落とし、幸運にも生き延びたとして以前と同じ生活に戻れなかった人たち。解放された喜びも束の間……夢に見ていた家族との再会がないこと、喜びを分かち合える相手がいないことを知った時の絶望。ひとつひとつを想像すると、胸が苦しくてやり切れません。

ナチスが悪い、ヒトラーが悪い、ドイツ人が悪い、と憎む気持ちにはなりませんが、こうした悲惨な出来事を起こしてしまった「人間」という生き物の弱さをひたすらに思い知りました。
(★★★★★)

わたしたちは、おそらくこれまでどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ。
―P.145


春だしそろそろ明るい本を読もうかな。。(笑)

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