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旅行記と、日々考えること

一級建築士試験

こんな記事を偶然見つけました。
headlines.yahoo.co.jp

建築関係の仕事が基本的にブラックというのは関係者にとっては当たり前のような感覚だと思いますが(よくないけど)、そのような仕事をしながら建築士の資格をとるのってなかなか大変です。

この記事の最後にも書いてあるように、一級建築士の資格は「足の裏の米粒」と揶揄されています。その心は、「取らないと気持ち悪いけど取っても食えない」というなんとも上手い表現。

(一級建築士というのは一般的には高収入ぽい響きかもしれませんが、実はそうでもないのです。)

ただ、設計をしていれば一級建築士はできれば取りたいもの。その理由は、会社として必要だから(待遇がよくなるから)、転職のため、独立のため、なんとなく気持ち悪い、年齢的にそろそろ欲しい、などなど。もちろんそれらを総称して「足の裏の米粒」なわけですが。


わたしは以下の記事にも書いたように、昨年一級建築士の試験を受けてなんとか合格できました。

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合格できたのは運によるところが大きく、そんなに語ることもないと思っていたのですが、

私自身、当時はいろんな人の経験談を読みたくて探していたので、せっかくならどなたかの参考になればいいな〜ということで、二次試験=製図について、個人的な経験談や思うところを書いておきます。

(もう今年の一次は終わっていて、いまが二次試験対策真っ只中ですね)

心得として

まず、受験する方ならご存知だと思いますがS資格とN学院という二大勢力(資格学校)に属して製図に臨むかたがほとんどです(なぜか伏せ字が通例)。お互いに対立意識があります。

私はS資格でした。去年はNがかなり大きな対策ミスをして、Sが圧勝だったようなので、私もそのおこぼれで合格できたのかと…。

試験を受けるうえでの、個人的な心得をいくつか書いておきます。学校はあまり関係ない内容なので、参考にしていただければ。(初年度で合格できたので、二年目以降の方には参考にならないと思いますが悪しからず。また、一次の学科は独学で製図のみ通いました。)

宿題を落とさない

これは自分にとって大事なモットーでした。

はじめの授業では、きれいに線を引く練習をしてとりあえず解答例(A2図面)を1枚トレースしてみるのですが、宿題で翌週までに「同じ解答例をさらに3枚トレースしてこい」と言われました。

製図にかかる時間は、最終的に目指すべき時間が1枚2.5〜3時間。最初は倍以上かかる人も多いです。そう考えると、3枚描くのに、めちゃくちゃ慣れた人で最低8時間、初心者なら10〜20時間。

私は土曜日も仕事で、日曜日が資格学校だったので、平日と土曜日の夜だけでこれをやるのはけっこうキツかったです(他にも宿題はあるし)。同じものを何枚も描くのって楽しくないし。が、初めが肝心だと思い、かなり文句垂れながら頑張りました。

でも、次の週に持っていったら私以外誰も3枚も描いていなくて

冗談の通じなさを早々に発揮してしまっただけでした。。

ただあの時何枚も描いたのは最終的によかったと思います。要するに製図というのはトレーニングだから。


前述のように忙しい人の多い業界で、どうしても時間のない人はいると思います。だから「宿題は捨てている」という意見もネットで見ました。

でも極力宿題をやったほうがいいです。そして、エスキスだけでなく、できるだけ製図したほうがいいです。

そんなのは当たり前だと思われるかもしれないけど、お盆過ぎてくるとだんだん慣れてきて宿題を出さない人が出てきます。さらに、エスキスさえできれば受かるという風潮が出てきて、みんな描くよりもエスキスを多くこなすことを重視し始めます。

エスキスが完璧であれば受かるかもしれません。でもどんなに練習しても、本番での超完璧なエスキスはたぶん無理です。エスキスの能力はいくら高めても本番で50%しか出せないことだってあります。だからエスキスだけに時間を費やすのは博打だと思います

でも製図は、練習して身についた能力の90%以上を本番で出せます。(本番で急に線や文字が描けなくなることはまずないから)

だから製図の練習はしたほうがいい、というのが個人的な意見です。

宿題をやるのは色んなタイプの問題をこなすためではなく、一問でも多く時間配分してみること、一本でも多く線を引くこと、が大事だと思ってます。

(エスキスの宿題をやらないという意味ではありません。それに加えて製図の練習も続けたほうがいい、ということです)

きれいに描く

ネットでは「きれいに描く必要はない」という意見もあります。実際、汚くて受かった人がいるからそう言われているのだと思うけど、きれいに描くことを放棄するのは良くないと個人的に思ってます。

だって、現場でディテールの話をする時にだって、ぐちゃぐちゃなスケッチを描いても全然伝わらない。「え、なにそれどこ描いてるの?」となる。だから職人さんだってみんなちゃんと描くし、それが建築の基本だと思うのです。

だからせめて

  • 線をまっすぐ引く
  • 角を閉じる
  • スケール感を意識する
  • 断面は濃く、見えがかりは薄く

これは欠かせないと思うし、図面として最低限のマナーかなぁという気がします。

それに、きれい=遅い、汚い=速い、という図式そのものがおかしくて、速くきれいに描くことを意識して訓練すれば不可能じゃないはず。もちろん赤ペン先生のような美しさは必要ないので、伝わることを意識して描けているかどうか。

なにより図面がきれいに描けるとテンションが上がります。採点するほうも絶対にそうだと思います。

大学受験の答案の場合も、汚い字で受かる頭の良い人もいますが、それはその人がめちゃくちゃ正解しているからです。正答率に自信のない人こそきれいな答案にしたほうがいいはず!

私は美大受験もしているのですが、絵というのは(特に期間の短い初心者の場合)描かなければ上達しません。何枚も何枚も描くということは大事で、線がきれいになるし、速くなるので、おすすめです。

問題文が最重要

言われなくてもわかるよって感じだと思いますが、本番を経験してより身に染みました。

昨年だと課題はリゾートホテルだったんですが、問題文の一番重要な位置に「客室は景観に配慮する」というような文言がありました。

それが何を意味するか、ものの数分で確実に判断しないと、その後どんなにいいプランや図面描いても無駄です。簡単そうに思えて、試験開始早々の焦った数分間で正常な判断を下すのはめちゃくちゃ大変です。

慣れてくると言葉を見間違えやすくなり、勝手に脳内変換して「南北」を「東西」だと思っていたとかザラにあるので…本当に注意が必要かと思います。

問題文を注意深く、ミスなく読み取り、出題者の意図を正確に把握する。これができればかなり合格に近づく気がします。

睡眠や食事を優先し、家事や趣味を捨てる

これは人それぞれという面もありますが。

合格率が低く(初年度の製図は30%らしい)、授業料が高く(製図対策だけで40〜50万円)、三回落ちたら学科から受け直しというめちゃくちゃ酷な試験です。

働きながらでは、とにかく生活を犠牲にしないとやっていけないつらい試験なので、受けるなら全力注ぐべきと思う人が多いはずです。


で、忙しいし睡眠を削る人は多いと思うのだけど、そうするとパフォーマンスが落ちるし、身体的にも危険です。

私は期間中、肺炎になって一週間何もできなくなってしまったし、その後試験直前に赤信号を渡ろうとしてあやうく車にひかれかけました。その時、死んだら元も子もないと思ったのです。。

とにかく身体を第一にすることを忘れないでください!

それに睡眠時間を削ると正常な判断ができないので、ただでさえ削りがちな睡眠時間はこれ以上削らないほうがよいかと…。

あと、家事はしんどいところですが、できるだけ放棄できるとよいです。家庭によって色んな事情があるの思いますが、落ちたらまた来年があることを考えると、家族に協力してもらって結果を出すってすごく大事かなぁと。

私も期間中は弁当を作らないと宣言していました。休日が学校だから掃除洗濯もあまりできず…。夫には感謝してます。


合格できたのは製図のおかげと思うところが大きいです。本番でわたしのプランはいまいちでした。大きなミスはないけどちょいちょい間違えたし。

あと、描き始めてから思い直して柱割を変えました(汗)そんなこと普通しません。したこともなかった。

でも、手が動いたのでギリギリ描き終えました。練習ではこだわって描いていた植栽が本番ではめちゃくちゃだったりしたけど、それくらい時間なかった中で、ギリギリ終えられたのです。

身についたものは裏切らないはず!

頑張ってください。


あ、息抜きにはビリケツくんのブログを読んでいました。単純に面白いので(笑)
ikkyuukentikusi.com

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